NetSuiteを導入すると、マネーフォワードや楽楽精算は不要になるのか?
日本企業のバックオフィスは、近年急速にクラウド化が進み、
- 会計は マネーフォワード クラウド
- 経費精算は 楽楽精算
- 労務は SmartHR
- 勤怠は KING OF TIME
といった“専門特化型SaaS”が広く普及しています。
一方、国内外の拠点管理や、販売〜購買〜在庫〜会計までを統合的に扱う
クラウドERP「NetSuite」 の採用も増えています。
こうした流れの中でよく問われるのが、
「NetSuiteを導入すると、マネーフォワードや楽楽精算は不要になるのか?」
という疑問です。
結論は明確です。
結論:不要になるのではなく、最適に“使い分ける”が正解
NetSuiteと日本SaaSは、本質的に役割が異なります。
- 日本SaaSは“現場の使いやすさ”や“日本固有の制度対応”に強い
- NetSuiteは“経営全体の統合管理”や“グローバル業務”に強い
そのため、どちらかを捨てるのではなく、両者を組み合わせて最適な境界線を引くことが最もスマートな選択になります。
1. 得意分野を整理
◆ NetSuite
- 販売・購買・在庫・プロジェクト・会計などを統合管理
- 多通貨・多拠点・海外子会社の同時管理に強い
- 経営視点での“面の管理”に向いている
◆ マネーフォワード クラウド
- 日本の会計・税務・電子帳簿保存法への対応が強い
- 銀行やクレカとの自動連携が豊富
- 日々の経理オペレーションに最適
◆ 楽楽精算
- 国内で最も普及している経費精算SaaS
- 申請〜承認〜証憑管理まで日本仕様で完結
- 電帳法・インボイス制度に強い
2. 「現場SaaS」と「統合ERP」で役割を分担する考え方
両者をどう組み合わせれば最適なのか。
答えはシンプルで、
現場の入力・運用 → 日本SaaS
全体の集計・分析 → NetSuite
という 二層構造 にすることです。
例)
- 経費申請は楽楽精算
- 会計税務はマネーフォワード
- プロジェクト原価・全社の損益管理はNetSuite
このように分けることで、
- 現場は使いやすいツールをそのまま継続
- 管理部門は統合された情報をNetSuiteで確認
- 経営は全体像を一つの画面で把握
というメリットが生まれます。
3. マネーフォワード × NetSuite:併用の最適解
▶ こういう企業はMFを残すべき
- 日本の税理士・会計事務所と連携している
- 電帳法・インボイス制度への迅速な対応が必要
- 日々の仕訳自動化にMFを活用している
▶ NetSuiteとの主な組み合わせ方
パターンA:日本ローカル会計はMF、本社統合はNetSuite
- 日本法人の帳簿は引き続きMFで作成
- 仕訳サマリや残高をNetSuiteに連携し、グローバルPLへ統合
パターンB:業務プロセスはNetSuite、帳票作成はMF
- 受注~入金、請求などの業務フローはNetSuite
- 日本側の税務書類の作成はMFで実施
MFは「日本の最後の帳票加工ツール」として残すケースが多いです。
4. 楽楽精算 × NetSuite:併用の最適解
▶ 楽楽精算の役割
- 経費申請・承認
- 証憑管理(電帳法対応)
- 細かな日本仕様の運用(交通費・ICカード連携など)
▶ NetSuiteの役割
- 経費を含む部門別・プロジェクト別の原価管理
- 他コストとの統合による正確な利益計算
- 多通貨・海外拠点を含んだ全社管理
▶ 最適な連携シナリオ
- 承認済みの経費データをNetSuiteに自動連携
- プロジェクト別・部門別の原価に自動配賦
- 証憑は楽楽精算で保管(電帳法対応はSaaSに任せる)
“入口は楽楽、出口はNetSuite”という分業が最も合理的です。
5. 最終的に目指す全体像
【現場レイヤー】
・楽楽精算(経費)
・マネーフォワード(会計処理)
・SmartHR / King of Time など
↓ 連携(API / CSV / Sheets)
【統合レイヤー】
・NetSuite(販売・購買・在庫・プロジェクト・会計を統合)
- 現場は慣れたSaaSを使い続けられる
- 経理・管理部はデータの統合が不要になる
- 経営は全体像がリアルタイムで見える
という 三者にとってストレスの少ない運用 が実現します。
6. まとめ:最適解は「共存と役割分担」
マネーフォワードも楽楽精算も、NetSuiteも、それぞれが異なる強みを持っています。
そのため、
“どれを捨てるか”ではなく、“どこを境界線にするか” が重要です。
- 現場の運用に強いのは日本SaaS
- 経営の統合管理に強いのはNetSuite
この二つをうまく並べることで、
業務効率と経営の見える化の両立が可能になります。
お問い合わせ
「NetSuite × 日本SaaS」の使い分けや、
システム間の連携設計については、企業の規模や業務フローによって最適解が異なります。
どこを境界線にするべきか、あるいは既存ツールをどう活かすべきかなど、
状況に応じた検討のサポートが可能です。
特定の製品への移行を前提としたものではありませんので、
検討段階のご相談でもお気軽にご利用ください。