はじめに

今年度の売上高と純利益を教えてください。

こう聞かれたら、NetSuiteで損益計算書を開き、会計期間や対象の子会社を確認します。
では、同じことをNetSuiteのAIに日本語で聞いたら、どんな答えが返ってくるのでしょうか。

SuiteWorld 2026では、NetSuiteの対話型AI「Ask Oracle」の機能拡張や、財務・在庫などの業務に応じた手順をAIが使えるようにする「SuiteSkills」が発表されました。

そこで2026年10月29日、当社のテストドライブ環境で、普段の業務でも聞かれそうな質問から試してみました。

まず、売上高と純利益を聞いてみる

NetSuite Nextの画面右下からAsk Oracleを開き、当会計年度の売上高と純利益を日本語で尋ねました。

当会計年度の損益計算書で、売上高と純利益を教えてください。

約2分後、売上高と純利益が表示されました。質問では子会社を指定していませんでしたが、回答には、どの範囲を集計対象としたかが書かれています。末尾には元の損益計算書へのリンクもありました。

Ask Oracleの回答画面。売上高と純利益に加えて、集計範囲と元の損益計算書へのリンクが表示されました。

実務でありがたいのは、答えが返ってきた画面から、元のレポートを開けることです。たとえば、会議資料にこの数字を載せるなら、リンク先で会計期間や子会社の範囲を確かめられます。

次に、半年先の売上を聞いてみる

過去の実績と季節性を踏まえて、今後6か月の売上を予測して。

続いて、季節性を踏まえて今後6か月の売上を予測するよう頼んでみました。月ごとの数字は返ってきましたが、計算方法を見ると、前年同月の売上をそのまま当てはめていました。

また、どの子会社を対象にしたかについて、回答の途中と前提条件の欄で説明が食い違っていました。予測を業務で使うなら、数字がどう計算され、どの会社の実績をもとにしているかまで確認しておきたいと感じました。

予測の方法 前年同月の実績をそのまま使っているのか、ほかの要因も織り込んでいるのか。

集計の範囲 全子会社なのか、一部の子会社なのか。回答の説明が、もとにしたレポートの集計範囲と合っているか。

※ SuiteWorldで発表された本格的な予測機能「Ask Oracle Predictions」とは別物と考えた方が良さそうです。

ほかのAI機能は、どこまで確認できた?

Ask Oracleで数字を聞いたあと、スキルを選ぶ画面やエージェントを作る画面、AIの利用量を見る画面も開いてみました。まずは、今回確認できたことを一覧にします。

機能テスト環境で確認できたこと
SuiteSkills財務、在庫、営業など、36種類のスキルが表示された
SuiteAgentスタジオ「新規作成」から、Ask Oracleで作成を始める画面が開いた
エージェント管理標準エージェント5種類が有効だった
AIポートレットNetSuite Nextのホームに設定カードが表示された
Intelligent Close締め計画に担当者や期日付きのタスクが51件表示された
AIユニット利用者別・機能別の消費履歴を確認できた

SuiteSkills|財務や在庫など、36種類のスキルが表示された

Ask Oracleの入力欄にある「+」から「スキルの適用」を開くと、今回のテスト環境では36種類のスキルが表示されました。

財務では延滞顧客の分析や締め計画の作成、在庫では在庫残高や出荷実績の確認。保存検索の作成やワークフローの操作など、管理者向けのスキルも並んでいました。

Ask Oracleの「スキルの適用」メニュー。財務や在庫など、業務に応じたスキルを選べます。画像は一覧の一部です。

同じ「+」メニューにはファイル添付もありました。PDFを添付してどこまで読み取れるかは、今後の検証項目です。

エージェント管理とSuiteAgentスタジオ|標準エージェント5種類が有効だった

「設定」から「Agent Management」を開くと、標準エージェントが5種類あり、すべて有効になっていました。

エージェント管理の一覧画面。今回のテスト環境では、標準エージェント5種類が有効でした。
  • Agent Monitoring Agent — エージェントの監視や問題調査
  • Saved Search Agent — 自然言語での指示から保存検索を作成
  • Document Processing Agent — 書類を読み取り、ドラフトレコードを作成
  • Transaction Matching Assistant — 銀行取引の照合候補を提示
  • Flux analysis agent — 増減分析の説明を作成

一覧では、各エージェントの詳細と有効・無効の設定を確認できました。書類を読み取ってドラフトレコードを作るなど、個別の動作は今回の確認範囲外です。

AIポートレット|ホーム画面に作成の入口があった

NetSuite Nextのホーム画面には、AIポートレットの設定カードがありました。ホームに表示したい内容をAsk Oracleに説明して、ダッシュボードに表示するポートレットを作る機能です。今回は設定カードの表示まで確認しました。

Intelligent Close|決算の締め計画に51件のタスクが並んでいた

締め処理を管理するIntelligent Closeでは、「Close plan」に51件のタスクが並んでいました。タスクごとに担当者や期日が表示されていて、誰がいつまでに対応するのかを一覧で確認できます。Excelで管理している締め計画の取り込みは、今後の検証項目です。

Intelligent Closeの締め計画。タスクごとの担当者や期日を一覧で確認できます。

AIユニット|質問すると、どれくらい使う?

Ask Oracleを試したあと、「Agent Management」の「AIユニットの使用」も開いてみました。ここでは、利用者別・機能別にAIユニットの消費履歴を確認できます。

今回試した質問ごとの記録は、次のとおりです。

試した内容消費AIユニット
当会計年度の売上高と純利益を質問109
今後6か月の売上予測を依頼153
外部Webの参照を依頼1

外部Webの参照を頼んだときは、Ask Oracleから「参照できない」という回答が返りました。この試行にも1ユニットが記録されていました。

AIユニットの使用画面。利用者や機能ごとの消費履歴を確認できます。

今回の結果は、日本語UIのテストドライブ環境を管理者ロールで確認したものです。自社の本番環境で使い始めるときは、利用できる機能に加えて、契約で付与されるユニット数や超過時の扱いも確認しておきたいところです。

まとめ

SuiteWorld 2026で発表されたAI機能のうち、Ask Oracleなどの中核機能は、今回のテスト環境で日本語でも試せました。日本のお客様も、身近な業務から使いどころを試し始める段階に来ていると感じました。

実務に取り入れるときは、誰が、どの作業で使い、どこで人が確認するかまで考えておきたいところです。日常的に使うなら、AIユニットの消費量も見ておく。今回はテスト環境での検証なので、本番環境で使える機能は個別に確認が必要です。業界特化の機能や外部サービスとの連携についても、今後の提供状況を見ていきます。

次は、日本語の書類からドラフトレコードを作り、担当者が確認して登録する流れや、カスタム・エージェントに定型作業の一部を任せる流れを検証していきます。実際にどの作業が楽になり、人の確認がどこに残るのか。 業務に組み込んで見えてきたことは、このコラムでもお伝えしていきます。

お問い合わせ

「自社のNetSuiteではどこから試せる?」「月次報告や決算で、時間がかかっているあの作業にAIを使えないか?」と思われた方は、Alea Technology Japanまでお気軽にご相談ください。

お使いの環境と普段の業務の流れを伺い、まずどの作業で試すと効果を確かめやすいか、一緒に考えます。