はじめに
前回は、ペンギンのAI社員たちが働く「AI Web制作会社」を紹介しました。PM、デザイナー、コーダー、品質管理が役割を分担し、Webサイトを制作する仕組みです。
この仕組みでは、AIだけで仕事を進めるのではなく、構成、デザイン、完成時に人間が内容を確認できるようにしていました。
AIが作業し、人間が判断する。
その考え方は、今も変わっていません。
ただ、実際に動かしてみると、別の疑問が出てきました。
人間の確認工程は、多ければ多いほどよいのでしょうか。
CFOから、さっそくフィードバック
完成したAI Web制作会社を、村上CFOに見てもらいました。
お、なんかいい感じにできてるじゃない。
誰が何をしているか、すごく分かりやすくなったね。
はい。構成、デザイン、完成時に、人間が確認できるようにしました。
でもさ、構成案とかデザイン指示書を途中で見せられても、正直、完成形までは分からなくない?
そうですね。構成、デザイン、実装の順に承認します。
AIなら、まず初稿まで作ってもらって、実物を見ながら直す方が早くない?
途中の承認をなくす、ということですか?
確認をなくすんじゃなくて、確認する対象を、途中経過から成果物に変えるってこと。
システム開発でいえば、ウォーターフォール型からアジャイル型に変える感じね。
なるほど。また仕様変更です。
ウォーターフォール型の承認は、AI時代にも合っている?
これまでのAI Web制作会社では、PMが構成を作り、人間が承認する。次にデザイナーが視覚設計を作り、再び人間が承認する。その後、コーダーがWebサイトを制作していました。
一つの工程を承認してから次へ進む、ウォーターフォール型に近い流れです。

人間が工程ごとに確認するため、AIをきちんと管理しているように見えます。ところが、構成案やデザイン指示書を読んでも、完成したWebサイトまで想像するのは簡単ではありません。
それでも承認を求められると、
「ここまで整理されているなら、大丈夫だろう」
「AIがそう提案しているなら、問題ないだろう」
と、承認ボタンを押してしまいます。
丁寧に確認したつもりでも、実際にはAIの提案を追認しただけかもしれません。
承認工程があることと、人間が判断していることは、同じではない。
AIが短時間で初稿を作れる今も、途中資料を確認するたびに制作を止める必要があるのでしょうか。
AIが作れるなら、まず作る。アジャイル型の制作へ
そこで、途中の構成承認とデザイン承認を省き、まず初稿サイトまで作る流れに変更しました。
AI社員が構成、デザイン、実装まで進め、人間はできあがった初稿を見てフィードバックします。
完成形を先に細かく決めるのではなく、まず形にして、確認と改善を繰り返す。アジャイル型に近い進め方です。

「違う」と思えば直す。
「もう少しこうしたい」と感じたら伝える。
そこから、AIがまた作り直す。
AIが速く作り、人間が実物を見て判断する。
PMが作る資料も、人間に途中承認してもらうためではなく、
AI社員同士の引き継ぎに必要な内容へ絞ります。
人間は、判断すべきことに集中する
人間が力を使うべきなのは、途中資料を何度も読み、まだ存在しない完成形を想像しながら、形式的に承認することではありません。
実際の成果物を見て、
- 目的に合っているか
- 顧客へきちんと伝わるか
- 自社らしさがあるか
- どこに違和感があるか
- このまま使ってよいか
を判断することです。
実際の画面があれば、
「見出しが少し固い」
「この写真はもっと大きくしたい」
「なんか、ここだけ違う」
と、感じたことを具体的に伝えられます。
最初から完璧な指示を書くのではなく、一度形にして、違いを見つけ、直していく。
成果物が、AIと人間の共通言語になります。
もちろん、すべての途中承認をなくせばよいわけではありません。契約、支払い、権限変更など、実行前に人間が確認すべき仕事もあります。
大切なのは、業務の内容とリスクに合わせて、何をAIに任せ、どこに人間の判断を残すのかを設計することです。
AI導入後も、業務フローは変えていい
今回の仕様変更で改めて感じたのは、最初に作った業務フローを守り続けることが目的ではない、ということです。
実際に使ってみると、
- この確認は分かりにくい
- ここはAIに任せてもよさそう
- ここは人間が途中で判断したい
- この資料より、実物を見た方が早い
といった違いが見えてきます。
その違いに合わせて、AIと人間の役割分担も変えていく。
AI導入は、一度仕組みを作って終わりではありません。
使う人が判断しやすい業務へ、運用しながら整えていくことも大切です。
今回のまとめ
今回は、途中の構成承認とデザイン承認を外し、初稿サイトを見ながら改善する制作工程へ変更しました。目的は、単に確認回数を減らすことではありません。
人間の力を、どこに使うか。
省ける工程はAIに任せ、人間は成果物を見て、目的や違和感、リスクを判断することへ集中する。
Alea Technologyでは、AIツールを導入するだけではなく、省ける工程と、人間の判断を残すべき工程を整理します。
AIに任せられる作業はAIへ。
目的、違和感、例外、最終判断は人間へ。
実際に使いながら、その役割分担と業務フローを整えていきます。
AIを入れたけれど、確認作業が重い。
人によって使い方が違う。
どこまでAIに任せてよいか分からない。
そんな状態も、ひとつの業務から小さく見直すことができます。お気軽にお問い合わせください。
※本記事中の会話はフィクションです。